クカバラベーカリー
雑記帳

Kookaburra

bakery

いつからかわたしはパン屋がすごく好きだ。旅先でも私は街のパン屋を必ず探す。
入った途端わたしを包むパンとコーヒーの入り混じった香りとオーブンから漏れる温かみも、狭い店内にお情け程度に備えられた小さなテーブルと硬い椅子も。
棚に積み上げられた食パンに、ショーケースに並んだテカテカのデニッシュや素朴な佇まいのクロワッサン、スパイスやらナッツやらが入ったこれもバターたっぷりのスクロールに、その下には具が式詰まったサンドウィッチと焼きたての小さなキッシュたち。奥に目を向ければヒーターが供えられた小さなケースにパイ包みやソーセージロール、と言ってもソーセージをパン生地で巻いたのんじゃなく、味付けしたミンチをパイ生地で包んだもので、それらが行儀よく並ぶ。レジの横にはフランスパンが巨大なペン立てのようにそびえ、その反対側にはホッキョクグマを名乗るアイシングのかかったジンジャーブレッドや、甘い小さなタルトや、なんかもう見ているだけで血糖値が上がりそうなビスケットやらなんやらがだいぶ幅を利かせている。
週末の朝、小さなパン屋は客の目も回るほど忙しい。高く積まれた食パンもクロワッサンも昼過ぎには取り残された渡り鳥のように行く当てを探している。「あさいっちばんはーやいーのはー♪」なんて歌を子供ころよく歌ったもんだけど、パン屋の朝は本当に早い。早朝7時や8時から店を開けるのに、彼らは夜中1時とかから仕込みに入る。遅いところでも4時とからしいけど、そうゆうところはまた夜遅くまで仕込んで帰るのだ。シェフ友達の多くはパン屋にはそうゆう理由でなれないと言う。わたしもそのうちの一人だ。なんでそんなハチャメチャな時間に働きゃなきゃいけないかってゆうと、彼らは天然酵母ってゆう無数の種類の生き物を扱っているからだ。天然酵母ってドライイーストみたいにこちらの予定に合わせてくれない。さんざん人を待たせても待ってはくれないから、こちらが彼らのペースに合わせるのみなのだ。
そうして地域をまさに「育む」職人たちをわたしはすごく尊敬している。酒代のほとんどかからない私になかなかお金が貯まらないのも、こうゆうパン屋がまだまだ生きているからだ。