クカバラベーカリー
雑記帳

Kookaburra

bakery

初恋サラダ。

Feb 20, 2019 | Uncategorized, オーストラリア, 旅の便り

スーパーのレジで、うっかりしてたら豆腐だのなんだのとそれぞれ小分けの袋に収まっている。
あらら
どうせゴミになるからいいのに。マイバッグ使ってもこれじゃあまり意味がない。丁寧に詰めてくれたバッグの中はテトリス状態で、「手厚いなー、日本は」と複雑な気持ち。
7年ほど前か、オーストラリアに来てまだ間もないころのこと。働いていたカフェで持ち帰りのサラダをプラスチックの容器に入れて蓋をしようとしたら客に断わられたことがあった。慣れない日々でひとつひとつの状況判断にまだ必死な頃だったから、「え?ふたいらんの?」なんて小さな例外を認識するのに時間がかかる。イライラした客が「いいのよどうせゴミになるんだからそれもうそのままよこしなさいよ」というようなことを言ったんだと思う。気圧された私が言われた通り蓋のない持ち帰りのサラダを手渡そうとすると近くで聞いていたボスが飛んできた。
「持ち帰りの食べ物はちゃんとふたをすることになってるから!」
そーなの!?そーなのか!?
客の手に渡りかけていたサラダをひっつかんで取り返すボス(笑)その後もちろんボスと客は言い合いになり、サラダは誰の手に渡ることなく大皿に戻された。
完全な傍観者に成り下がる私。ボスもなんだか偏屈な人だったから、私の味方になろうというよりは、鬱憤の矛先を探していたんだと思う。あれから何年もたったけど、あの日のことって今も時々、本当に時々だけど思い出すのだ。
今の自分があの場に戻ったら、「いいじゃんべつにー!いいことじゃーん!」って意固地なボスをなだめられるんだけど、あの頃のわたしはまだ青くて余裕も自信もなかったから、なんだかおどおどとやり過ごしてしまった。言葉の壁は確かに大きかったけど、長いものに巻かれない心意気があればあの時の自分の対応も少しちがっていたはず。
ほんと、大したことじゃないし、そんなの以上に悔しいこととかってそのあときっと山ほどあったんだけど、あの時誰の手にも渡らなかったサラダは、思いを伝えられないまま玉砕した初恋相手みたいに淡い痛みを私の心にのこしていったみたい。

コブクロを駆使して詰められた絶対もれないであろうバッグをひっさげて店を出るとき、またあのサラダが頭をよぎった。今度は忘れずに「袋いいです!」って言わないと。