クカバラベーカリー
雑記帳

Kookaburra

bakery

World’s Best Female Chef

Sep 10, 2018 | オーストラリア, メルボルン, 料理, 旅の便り

スペインのCarme Ruscalledaってとても有名なシェフが”World’s Best Female Chef”(世界一の女性シェフ)という賞を辞退したってゆうニュースがあった。こういった業界ごとに疎い私はこの人のこと全然知らないんだけど、純粋に「すごいなー」と思う。と同時に、「わかるわー」ってちょっと笑ってしまった。
感心する理由はやっぱりタイトルはどうあれ大きな賞であることには変わりないし、ああいう人たちの努力が並じゃないことを見たり聞いたりして知っているから。共感する理由は「女性シェフ」ってゆう誰がどうゆう目的で未だに分けているのかわからないこの謎のカテゴリーだ。だってまあポリティカルなことはともあれ、料理の審査って文字通り料理を審査するわけで、審査員がおいしい料理を食べて「うまいわーこれなにっ!?」つってから料理人のプロファイル見て「あ、これ作ったの女性だから、‘’シェフ‘’でなく‘’女性シェフ‘’で1位だー!」って、なんだそりゃってずっこけてしまう。なんかこうおかしなことも堂々と言われるとこっちの平衡感覚が狂ってくるかんじ。おそらくこうゆう賞も「男性社会で戦う女性を応援しよう」みたいな動機から生まれたんだと思うけど、「男がメインで女がサポート」ってゆう深く根を伸ばした勘違いの上にあるから、育てば育つほど厄介だ。残念ながら。
料理ってそもそもオトコオンナ関わりなくみんなのもので、お母さんのものでも彼女の役割でも男の仕事でも男子の趣味でもない。私も女性としてキッチンに身を置いてきて、ほんとにまだまだまだまだまだ男性社会なこの業界にうんざりする瞬間がとことんある。この気持ちを共有する人はほかの業界にもきっと多くいるし、必ずしも女性だけじゃない。多くの男性もまた、この男社会に疲れているはずだ。
昨夜うちにおいしいカレーとラッシーをもって訪ねてきた友達カップル。日本の医学部入試事情を知っておったまげたようで。例のニュースはオーストラリアにも届いていて、わたしの彼も驚いていた。もう一度言うけど、あまりにもおかしなことって堂々と言われたりやられたりするとこっちの平衡感覚が乱されるから、知らず知らずそれに従ってしまうことがある。「なんかおかしいな」って思ったら、ちょっと止まって深呼吸してから自分の感覚をひとつひとつ確認してみることは、日ごろから心がけていないと。
9月3日に結婚1周年を迎えたふたり。先週わたしの携帯に写真が届いた。彼女らの結婚式にわたしが作ったウェディングケーキ。冷凍しておいたケーキの残りを、もう絶対おいしくないのに昨日のものみたいに頬張るふたり。微笑ましいとはこのことだ。化粧っけのかけらもないなんだか子供みたいな身なりの彼女は最近大学教授になって忙しそう。彼女を見てまったく「教授感」がないと思うのもまた、私の中の「偏見」なわけで、いやはや平衡感覚を保つのって楽じゃない。
そんなことを悶々と考えながら、棚の奥から小さなケーキ型を引っ張り出す。1週間遅れのアニバーサリーケーキはチョコレートのスポンジにしようかな。